犬の生態と寿命

生態

イヌの属するイヌ科は、森林から開けた草原へと生活の場を移して追跡型の狩猟者となった食肉類のグループである。待ち伏せ・忍び寄り型の狩りに適応したネコ科の動物に対して、イヌ科の動物は、細長い四肢など、持久力重視の走行に適した体のつくりをしている。
また、イヌは古くから品種改良が繰り返されて、人工的に改良された品種には、自然界では極めて珍しい難産になるものも多く、品種によっては、出産時に帝王切開が必要不可欠となる(主にブルドッグ)。

社会性

イヌの特徴としてヒトと同じく社会性を持つ生き物であることが挙げられる。意思疎通をするための感情や表情も豊かで、褒める、認める、命令するなどの概念を持っている。ヒトに飼われているイヌは、人間の家族と自身を1つの群れの構成員と見なしていると考えられ、群れの中の上位者によく従い、その命令に忠実な行動を取る。この習性のおかげでイヌは訓練が容易で、古くからヒトに飼われてきた。最古の家畜とする説が有力である。子犬を入手して飼う場合には、親犬の元での犬社会に対する社会化教育と新しい飼い主と家庭および周囲環境への馴化(じゅんか)との兼ね合いから、ほぼ6週齢から7週齢で親元より直接譲り受けるのが理想的とされる。

知能

全般的に高い知能を有する。また、品種によってはより優れた学習能力を示す。他の犬に対して関心を示し、威嚇する行動を執る品種とそうでないものがある。他の犬への関心の示し方、攻撃性は、躾(しつけ)によっても抑えることはある程度可能である。

犬に悪影響を与える食べ物

イヌの健康に影響を与える食べ物については、それが良い影響なのか悪い影響なのかを問わず、科学的にすべてが解明されているわけではない。現在、健康によい、もしくは無害とされている食べ物でも、将来的に悪影響が判明したり長期的な調査によって長期間の摂取が好ましくないとされたりする可能性がある。 以下に挙げる物は健康への悪影響が判明している食べ物であり、これらのものを好んで食べるイヌもいるため、飼い主が与えない、もしくは、拾い食いさせないように注意されている。

チョコレート

これは、チョコレート類に含まれるテオブロミンという成分によって中毒を起こすためである。体重10kgのイヌが約100g食べた場合でも発症のおそれがある。2009年度では、215件の中毒事例が報告されている[8]。ネコも同様の理由で悪影響を受ける。

ネギ類(ネギ、タマネギなど)

これは、ネギ類に含まれる成分がイヌの赤血球を溶かし、貧血を起こすためである(タマネギ中毒)。ネコも同様である。

鶏の骨

噛み砕いた際にササクレ状に割れるため飲み込んで消化管穿孔の原因になることがある。特に加熱されたものが危険。

骨格

イヌの歩き方は、指で体を支える趾行(しこう)性で、肉球(4つの指球(趾球)と1つの掌球(蹠球))と爪が地面につく。爪は先が尖っており、走るときにスパイクのような役割をする。ただし、ネコ科のものほど鋭くはない。爪を狩りの道具とするものが多いネコ類とは異なり、イヌ科の動物は爪を引っ込めることができず、各指はほとんど広げることができない。ネコ類と同じく、第3指(ヒトでいう中指)と第4指(薬指)の長さが同じである。後肢の第1趾は退化して4本趾の構造となっているが、たまに後肢が5本趾のイヌもいる(こうしたイヌの後肢の第1趾は「狼爪(en)」と称する)。前肢は5本指の構造となっているが、やはり、その第1指(親指)も地面には着かない。一部のマウンテンドッグは狼爪が二本あるものもある。狼爪は幼少時に切除される場合が多いが、前述のマウンテンドッグの場合には切除しない。

前肢はほとんど前後にしか動かず、鎖骨は失われている。逆に股関節は、靭帯による制約が少ないために、他の家畜類に比べて可動性が広く、後肢を頭を掻くのに用いたりし、また、雄は排尿時に高く持ち上げるが、陰茎の位置からして大型犬のほうが有利ではある(雌はしゃがんで少し上げる)。反面、靭帯が少ないことは、しばしば股関節脱臼を起こす原因ともなっており、高齢犬・著しく体重が増えた犬・大型犬でその傾向が高い。
肋骨は13対で、ヒトより1対多く、走るのに必要な肺と心臓は、体のわりに大きい。心臓はネコ目(食肉目)の他のグループの動物と違って球形に近く、特に左心室が非常に大きい。
尾は走行中の方向転換で舵として働くが、オオカミなどと比べると細く短くなっており、また、日本犬に多く見られるように巻き上がっているものがあるのは、筋肉の一部が退化して弱くなっているためである。
陰茎に陰茎骨を具えていることも特徴である。

歯式は 3/3・1/1・4/4・2/3=42 で歯は42本(21対)あり、32本(16対)の歯をもつヒトや、28- 30本のネコと比べると、顎が長い分、歯の数も多い。ヒトと比較すると、切歯が上下各3本、前臼歯(小臼歯)が各4本と多く、後臼歯(大臼歯)は上顎で2本(下顎は3本)と少ない。イヌ亜目に共通の身体的特徴として、犬歯(牙)のほかに、裂肉歯と呼ばれる山型にとがった大きな臼歯が発達している。この歯は鋏(はさみ)のようにして肉を切る働きをもつ。裂肉歯は、上顎の第4前臼歯と、下顎の第1大臼歯である。食物はあまり咀嚼せずに呑み込んでしまう。

消化器

イヌ科グループの他の動物と同様、イヌは基本的には肉食であるが、植物質を含むさまざまな食物にも、ある程度までは適応する。消化管はそれほど長くないが、腸の長さが体長(頭胴長)の4- 4.5倍程度であるオオカミに対して、イヌのほうは5- 7倍と、いくらか長くなっており、これも植物質の消化に役立っている。肉食獣の中には盲腸をもたない種も存在するが、イヌはそれほど大きくないものの 5- 20cm程度の盲腸をもつ。

イヌの耳下腺は、副交感神経性の強い刺激を受けると、ヒトの耳下腺の約10倍のスピードで唾液を分泌する。唾液は浅速呼吸(喘ぎ)により、口の粘膜と舌の表面から蒸散する。激しい運動のあと、イヌが口を開け、舌を垂らしてさかんに喘いでいるのはこのためである。イヌの体には汗腺が少ないが、この体温調節法は汗の蒸発による方法と同じくらい効果的であるという。
肛門には肛門嚢(こうもんのう)と呼ばれる一対の分泌腺があり、縄張りのマーキングに使われるにおいの強い分泌液はここから出ている。ジャコウネコやハイエナのように外に直接開いてはおらず、細い導管で肛門付近に開口している。なお、イヌが雨に濡れたときなどに特に匂う独特の体臭は、主に全身の皮脂腺の分泌物によるものである。

嗅覚

警察犬の遺留品捜査や災害救助犬の被災者探索等でよく知られるように、イヌの感覚のうち最も発達しているのは嗅覚であり、においで食べられるものかどうか、目の前にいる動物は敵か味方かなどを判断する。また、コミュニケーションの手段としても、ここはどのイヌの縄張りなのかや、相手の犬の尻のにおいを嗅ぐことで相手は雄か雌かなどを判断することでも嗅覚は用いられたりする。そのため、イヌにとっては嗅覚はなくてはならない存在である。

イヌの嗅覚はヒトの数千から数万倍とされるが、その能力は有香物質の種類によっても大きく異なり、酢酸の匂いなどはヒトの1億倍まで感知できる。嗅覚は鼻腔の嗅上皮にある嗅覚受容神経(嗅覚細胞)によって感受されるが、ヒトの嗅上皮が3-4cm²なのに対し、イヌの嗅上皮は18-150cm²ある。嗅上皮の粘膜を覆う粘液層中に分布する、「嗅毛」と呼ばれる線毛は、においを感覚受容器に導く働きをするが、イヌの嗅毛は他の動物のそれより本数が多く、長い。嗅細胞の層も、ヒトでは一層であるのに対して、イヌでは数層になっており、ヒトの500万個に対し、2億5千万から30億個あると推定されている。鼻腔の血管系もよく発達している。ヒトが顔や声について特別な記憶力をもつように、イヌは匂いについての優れた記憶力をもっている。イヌを含む動物群の鼻先のいつも湿っている無毛の部分を「鼻鏡」と呼ぶが、これもイヌのすぐれた嗅覚を保つのと同時に風の向きを探る働きをすると考えられる。

上述のようにイヌが嗅覚に優れた動物であることは事実であるが、ただし、他のさまざまな動物に比してイヌの嗅覚だけが特別に秀でているということではない。イヌ同様に探索目的での使役が多いブタ(イノシシ類)も引けを取らないと考えられているし、クマの研究者によればクマ類の嗅覚はイヌ(イエイヌ)の約7倍とされている。ゾウは嗅覚細胞の総量から言っても、能力においてイヌやクマを遥かに上回る動物として知られている。なお、魚類ではウナギの嗅覚がイヌの嗅覚に匹敵するとされる。

聴覚

イヌは聴覚も比較的鋭い。また、可聴周波数は 40-47,000 Hz とヒトの 20-20,000 Hz に比べて高音域で広い。超音波を発する笛である犬笛(約30,000 Hz)はこの性質を利用したもの。聴力において、犬種による違いはほとんど見られない。

視覚

優れた動体視力を持っており、1秒間に30フレームを表示するテレビ画像などはコマ送りにしか見えない。一方、イヌの眼には赤色に反応する錐状体の数が非常に少ないといわれ、明るいときには赤色はほとんど見えていない可能性が高い。色の明暗は認識できるが、全色盲に近いと考えられている。信号機だけは識別できるとされていたが、実はこれも灯火の点灯順序と人間の動きを関連づけて学習していたに過ぎない事が確認されている。ネコやキツネの瞳孔が縦長であるのに対し、イヌの瞳孔は収縮しても丸いままである。

出産と成長

メスの発情周期は7 - 8か月であるが、犬種により差がある。妊娠期間は50 - 70日。3 - 12子を一度に出産するため、乳房を左右に5対持っているのが一般的である。生誕6- 12か月目で成犬の大きさになり、その後、2- 3か月目で性熟する。これはオオカミの2年に比べて早熟である。小型犬は成犬に達するのが早い分、性熟も早い。

寿命

イヌは10歳になると老犬の域になり12歳から20歳程度まで生きる。ただし犬種や生育環境によっても異なり、基本的に大型犬のほうが小型犬よりも短命である。また、一般的には屋外飼育よりも室内犬のほうが長命の傾向があり、純血種よりも雑種のほうが長命と言われる。歳を取るスピードは若いほど早く成犬となってからは緩やかとなる。イヌの年齢をヒトの年齢に換算する方法は諸説あるが、科学的根拠に基づいたものではなく必ずしも正確ではない。目安として、小型犬は生後1年でヒトの約17歳、生後2年で約24歳、大型犬は生後2年で約20歳、それ以降は小型犬で1年につきヒトの4歳程度分、大型犬は5-6歳程度分、歳を取ると考えられる。転じて、年単位で数年分に匹敵する急速に発達した科学技術(パソコン・携帯電話等)を指して「ドッグイヤー」と呼ぶことがある。

近年、飼育環境の改善やフィラリア予防等の動物医療の普及などによって、犬の平均寿命は伸びる傾向にある。
2011年現在、ギネスブックにて「生存する世界最高齢のイヌ」と認定されているのは、日本の栃木県に暮らす「プーすけ」で、2011年10月現在で26歳7か月[7]。記録が残っている最も長く生きた犬はオーストラリアの牧畜犬「ブルーイ」で、29歳5か月だった。

近年、ペットフードの進歩によって、犬の寿命は大きく伸びたといわれています。犬種や飼育環境によっても変わりますが、12~15年が平均寿命とされています。一般的には大型犬は小型犬より寿命が短いといわれています。

人気わんこ特集
犬種名 この犬種の日本での平均寿命(人間年齢) この犬種の日本での最高寿命(人間年齢)
アイリッシュセッター 9歳(59歳) 18歳(97歳)
秋田犬 8歳(57歳) 18歳(101歳)
アフガンハウンド 9歳(59歳) 17歳(93歳)
アメリカンコッカースパニエル 10歳(58歳) 19歳(92歳)
アラスカンマラミュート 8歳(55歳) 15歳(85歳)
イングリッシュコッカースパニエル 10歳(59歳) 19歳(94歳)
イングリッシュセッター 9歳(60歳) 18歳(99歳)
イングリッシュポインター 10歳(64歳) 19歳(102歳)
ウエストハイランドホワイトテリア 11歳(59歳) 20歳(94歳)
ウェルッシュコーギー 10歳(58歳) 19歳(95歳)
エアデールテリア 9歳(59歳) 18歳(94歳)
オールドイングリッシュシープドッグ 9歳(61歳) 16歳(92歳)
紀州犬 11歳(64歳) 21歳(101歳)
キャバリアキングチャールズスパニエル 12歳(62歳) 21歳(96歳)
グレートデーン 7歳(58歳) 13歳(90歳)
グレートピレニーズ 7歳(56歳) 15歳(100歳)
ゴールデンレトリバー 9歳(59歳) 19歳(102歳)
コリー 9歳(59歳) 18歳(97歳)
雑種犬(ミックス犬)5kg以下 14歳(67歳) 25歳(107歳)
雑種犬(ミックス犬)5~10kg 13歳(68歳) 23歳(108歳)
雑種犬(ミックス犬)10~20kg 12歳(69歳) 21歳(106歳)
雑種犬(ミックス犬)20~35kg 10歳(64歳) 20歳(106歳)
サモエド 9歳(59歳) 17歳(93歳)
シーズー 13歳(63歳) 23歳(100歳)
シェパード 9歳(59歳) 18歳(97歳)
シェットランドシープドッグ 11歳(60歳) 21歳(100歳)
柴犬 10歳(57歳) 21歳(100歳)
シベリアンハスキー 10歳(64歳) 18歳(97歳)
ジャックラッセルテリア 12歳(64歳) 21歳(99歳)
シュナウザー(ミニチュア) 12歳(64歳) 21歳(99歳)
スピッツ(日本スピッツ) 12歳(64歳) 21歳(100歳)
セントバーナード 7歳(60歳) 13歳(92歳)
ダックスフント(ミニチュア) 13歳(63歳) 22歳(100歳)
ダルメシアン 10歳(64歳) 18歳(97歳)
チワワ 14歳(66歳) 25歳(106歳)
ドーベルマン 9歳(61歳) 18歳(101歳)
トイプードル 13歳(63歳) 24歳(103歳)
ニューファンドランド 7歳(59歳) 13歳(90歳)
バーニーズマウンテンドッグ 8歳(58歳) 15歳(93歳)
パグ 11歳(60歳) 21歳(99歳)
バセットハウンド 9歳(59歳) 17歳(93歳)
パピヨン 13歳(63歳) 23歳(100歳)
ビーグル 11歳(60歳) 19歳(92歳)
フラットコーテッドレトリバー 9歳(59歳) 17歳(93歳)
ブルテリア 10歳(62歳) 18歳(95歳)
ブルドッグ 9歳(59歳) 18歳(97歳)
フレンチブルドッグ 12歳(64歳) 20歳(96歳)
ボーダーコリー 10歳(61歳) 18歳(93歳)
ボクサー 9歳(61歳) 16歳(92歳)
ボストンテリア 12歳(65歳) 20歳(98歳)
ポメラニアン 13歳(63歳) 23歳(100歳)
ボルゾイ 8歳(57歳) 15歳(88歳)
マルチーズ 13歳(63歳) 24歳(103歳)
ミニチュアピンシャー 12歳(60歳) 21歳(92歳)
ミニチュアダックスフント 13歳(63歳) 22歳(100歳)
ヨークシャーテリア 13歳(63歳) 24歳(103歳)
ラブラドールレトリバー 9歳(60歳) 19歳(104歳)
レオンベルガー 7歳(60歳) 14歳(98歳)
ワイマラナー 9歳(61歳) 17歳(96歳)
ワアイヤーフォックステリア 12歳(63歳) 21歳(100歳)
犬を飼おう!

犬について

わんちゃん大特集!